文字通り頭のてっぺんから足の爪先まで洗っている。
マルセイユ石けんとは「釜炊きけん化法」という
伝統的な製法によって造られた石けんである。
オリーブオイルなどの植物性油脂を釜でゆっくり溶かし、
精製された地中海の海水を使って塩析、
潮風で自然乾燥させて造られたものだ。
マルセイユでは、
9世紀頃から石けん工場で石けんを造っていたそうで、
あまりにも有名だったためにバッタものが出回りすぎてしまい、
のちの17世紀後半、ルイ14世時代に製造規準を定め、
マルセイユ以外での石けん製造を禁止するなどしたそうである。
ちなみに現在では、
マルセイユ以外で造られた石けんでも、
マルセイユ石けんと名乗ってもいいらしい。
僕が最初に手に入れたのも、きっと、
マルセイユ石けんと名乗っている
マルセイユ以外で造られた石けんだったのだろう(ややこしいな)。
調べてみれば、
Le Serail(セライユ)というところのものと、
Marius Fabre (マリウス・ファーブル)というところのものが
製法的にも品質的にも間違いがないというので、
今回、セライユのオリーブ石けんを手に入れてみた。

使い心地について言えば、
ちょっとネットを検索すれば載っているとおり、
クセのある独特の香りがするのだが、
洗い流せば独特の香りも全く気にならない。
泡立ちはきめ細かく、
洗い上がりはしっとりするというよりも、
さっぱりする感じがする。
以前、ふつうのシャンプーを使っていた頃は、
夕方〜夜になるにつれ、
だんだんチクチクと頭の中がかゆいんだ状態になっていたのだが、
なんとなくそういうことが減った気がする。
#まあ、これは石けんだけではなく、
#豚毛のブラシで念入りに髪を梳いている所為もあるかと思う。
とにもかくにも、
マルセイユはタロットカードで有名なだけではないのである。
・ル・セライユ
・マリウス・ファーブル
あるいは、
ジェントルマンになりたいと思う男は、
雨の日でも晴れの日に履いている革靴をそのまま履くのだそうだ。
だが、さりとて、靴にしみ込んだ雨水が、
靴下を通じて足の指をふやかしてしまうのも、堪え難いものだと思う。
(そして「僕自身はジェントルマンなのか?」というのも問題であるが)。
以前、雨の日用にと、
グッドイヤーウェルテッド製法の、
表皮はキップ、底がゴム、内部がゴアテックスという靴を求めたことがあり、
その具合がなかなか良かったので、
もう一足手に入れたいと思っていたのだった。
以前の靴は、プレーントゥのタイプだったので、
今度はできればストレートチップを。
そして、EEEという足巾だったので、
ワンサイズ小さいものを。
(ロングノーズなので、
おそらくワンサイズ小さくても問題ないだろう)。

今回はなんとかキャンペーンみたいなのをやっていたので、シューツリーがおまけでついてきた。これはラッキー。店員に訊けば、素材は椿なのだという…。
靴自体は、履いた際の内羽根の開き具合も、サイズもいいんじゃないかと思う。(履くときにはシュポって空気の抜ける、あの独特の音が立つし)。
だが、今はまだ試し履きをしている段階であり、底の返りがまだ良くない所為か、はたまたワンサイズ小さくしたのが仇となったのか、長時間履きつづけるのは結構しんどいというのが正直なところである。
(1)番手を訊くこと
(2)首周りをジャスト・サイズに近づけること
(3)湯通しをすること
(4)裄丈をさらに2cm出すこと
(5)ボタンを厚めのものに変更すること
…ということをお願いするのだ(忘れなければ)。
作ったのは去年と同じ場所。訪れたのはセールの初日だったが、結構混雑している。さっそく(1)について訊ねると、
「これが100番手。そしてこれが120番手です。さわるとなめらかですよ」とパパパッと選んでくれる。なんと、セールなのに120番手のものも置いてあるのか。これは掘り出し物だなあ。でも無地だったので、100番手のストライプの生地を二種類選んで採寸してもらう。
基本的に仕様は去年と同じ「前立なし」「ポケットなし」「ワイドスプレッドカラー」で、懸案の(2)(3)(4)についてサラリとお願いして、サラリと終わるはずだったのだが、これがなかなか進まず、想定外のやりとりが始まってしまって、逆にそれが楽しいものだったのである。
とりわけ(3)については、
「湯通しねえ…湯通しはねえ…ゴニョゴニョ」といった感じで、イマイチ歯切れが良くない。どうやら話したときの印象、トーン、目配せなどから総合的に判断すると「そういうことは、もっと良い生地でやるもんだ」ということが伝わってきたのであった。なるほどね、たしかにそうかもしれない。
そして(4)をお願いすると
a. メジャーで裄丈をはかり、
b. 一瞬「えっ?」という表情になり、
c. 「とても長くなりますよ。それでもいいんですか」と訊ねてくる。
d. 「いいんです。お願いします。手首の辺りで、余った布がふわりと溜まるのが好きなんです。そういうふうにしたいんです」と僕は答える。
e. 首をちょっとかしげる。
この「a.」〜「e.」までのやりとりを、なんだかしらないけれど、3、4回繰り返す。その後ようやく、
「どうしてもやれっていうなら、私たちもやりますけれど」とあきらめたように氏は言う。(だから、どうしてもって、さっきから言ってるじゃないか)と僕は心の中で思いながら、
「お願いします」と答えてやっと裄丈が決まる。
そして、ボタンは3mm厚の高瀬貝に(白蝶貝はなく高瀬貝のみ。4mm厚にするとプラス500円のオプション)、ついでにカフも8cm幅のものに変更し、肩幅を1cm出すことにした。

出来上がったシャツを着てみたところ、悪くない。100番手の(おそらくブロードの)生地も、ややなめらか・サラリとしていて着心地がいい。3mm厚のボタンも角が丸くてはめやすい。
オーダーにしても既成にしても、これより上には上のシャツがあるのは知っているが(たとえば、こんなのとか、こんなのとか、こんなの)、今の僕にはこれくらいがちょうどいい。でもやっぱり、気になるところが出てくるのだった。たとえば…
・やっぱり湯通しをしたい
・剣ボロのボタンホールを袖と平行にする
(直角にあいており、何かの拍子に破れないかと心配なので)
・前立の7番目のボタンホールを横向きににあけたい
・手首周りのカフのサイズをジャストに近づける
・スプリット・ヨークにできるのか知りたい
・芯地はどのようなものがあるのか知りたい
・スペアのカフやカラーが作れるのか知りたい
ざっと、こんなところである。次回に反映させようと思う。
大きな地震がありましたが、
東京では、
副都心線という新しい地下鉄が開通したそうである。
池袋と新宿と渋谷がつながって、
街はもう大騒ぎだとか。
そのような中、仕事の撮影で急遽、
スーツやらシャツやらネクタイやらが必要となり、
いちばん充実していそうな新宿へと赴いた。
僕が立ち寄ったデパートメントストアは、
いつもの週末の倍くらいのものすごい人だかりだった。
スーツを着たときのイメージがしやすいように、
ネイビーのブレザーコート
+グレーのトラウザーズ
+ワイドスプレッドシャツ
+ネクタイという、
ごくごく普通の色気のない格好をしていたのだが、
あれやこれや物色していると、
ポロシャツにジーンズ姿の男性5人くらいから、
「すみません。このシャツのサイズは…」
とか、
「すみません。このネクタイの色違いを…」
などと声をかけられた。
おそらく店員と間違えたのだろう。
すみません、紛らわしい格好で。
こんなときには、
本物の店員の人に向かって、
「君、このお客さまにシャツをご案内差し上げて」
などと言えたら面白かったのかもしれないね
(なぜか、やや上から目線で…)。
さて、肝心のスーツはというと、
ライトグレイのシングルブレステッドということ以外は、
特に指定がなかったので、
結局、英國的で構築的なたたずまいのスーツをこしらえる店を狙って、
狙っていたモデルを購入した。
狙っていた3ピースは
予算をオーバーしてしまうとのことだったので、
2ピースを選んだのであった。
#それにしても、
#経費を使って自分サイズのスーツを購うのは、
#いささか不思議な気分である。

僕の場合、
肩で合わせようとするとサイズ38が、
身頃で合わせようとするとサイズ36がちょうどいいのだが、
最近は体重が落ちてきたこともあり、
店員の方の薦めもあって、
今回はサイズ36を選んだ。
購入後に肩が凝ったような感じがしたので、
後から考えてみれば
「フィッティングのときは緊張していて、
意識せずに怒り肩になっていたのか」
(つまり、やや小さめのサイズでも身体の方が服に合わせてしまう)
とか
「ツキジワが出るか出ないかを、
もっとシビアにチェックすれば良かったな」
などと、
気になることがいくつか出てきたのだったが、
さらにさらに後から考えてみた結果
「今後、生地や芯地がこなれてくることを思うと、
やっぱり身頃に合わせたこのサイズで正解だったのではないか」
と思った次第である。
僕は普段、あまりスーツを着ることはないのだが、
何よりも代え難いのは、
袖を通したときに味わう高揚感である。
「よし、仕事してやるぞ」
なのか何なのか分からないのだが、
とにかく身が引き締まる思いがするから不思議なのである。
こういう傘なんかを手に入れたいと思っているのだが、
(そして実際手に入れようとしたのだが)
とりあえずのその場しのぎとして、折りたたみ傘を買った。
その場しのぎなら、
コンビニのビニル傘でもいいのではないかと思うのだが、
ビニ傘の嫌いなところは、
1. 誰かに勝手に持っていかれること
(これは逆に、勝手に持っていくこと「も」できるという利点にもなるのだが)
2. サイズが小さく、顔以外はビショ濡れになってしまうこと
というものであった。
でも最近は65cmという大きめのビニ傘が手頃な価格で売られ、
悪魔が「これでいいじゃないスか。どうせなくなるんだし。ねえ、旦那」
なんて耳元でささやいたりして、本当に困ったものである。
ここをグッとこらえ、購入したのは、
totes TITANIUM Reinforced
という折りたたみ傘。
大きさはもちろん普通の傘の方が大きいのだろうが、
開いた大きさが100cmにもなる。
ワンタッチで自動的に開いて自動的に閉じる便利な傘。
グリップが大きくて持ちやすく、親骨もチタン合金でしっかりしていて、
想像以上に使いやすいのである。
はじめてのオーダーなので、そういう場合はたいてい二枚くらい試してから、あちこち補正していって、本当に身体にフィットするシャツを育てていくというのが定石らしいのだが、なんとはなしに白系とブルー系で二着ずつ、四着作ることにしたのであった。
いろいろ生地見本を出されて、番手がどうのこうの…というウンチクを聞かされることを期待していったのだが、僕が行ったのは、とある百貨店のセール期間中のバンケットルームのワン・コーナー。さまざまな種類や色の生地がガラスのショーケースに入れられていて、メジャーを持ったおじさまたちが二、三人並んでいる。訊けば、まず、ここから生地を選んでから採寸してくれるとのこと。ちょっと想像していたのと違うなあ。
オーダーメイドする事前調べとして、生地はブロードで、ボタンは貝ボタン、前立ては…、ポケットは…云々と、あれやこれや思いを巡らせていたのだが、想像とは違うこの状況に追いつくことに必死で、そのようなディテイルはひと息に頭からすっ飛んでしまった。生地選びから躓くとは…。きっと尋ねればひとつひとつ丁寧に答えてくれたんだろうけどね。
結局、白系・ブルー系共にツイル地とヘリンボーン地を選んだ。立体的な光沢感が気に入ったからである。次に何をするのかというと、襟とカフの形を選ぶ。襟はワイド・スプレッドに、カフは中丸に。四枚とも同じデザインである。そして首やら腕やら手首やらを採寸してもらった。
ひとつだけ念を押したのは、袖の長さである。腕を動かしてもカフが動かないように、長めを希望する。理由はふたつある。腕を動かすたびにカフが動く既成のシャツでは気に入らないからであり、子どもの頃お下がりが多くて手首が丸見えのシャツを着ていたことを思い出すのがイヤだったからである。僕の理想は『オバケのQ太郎』に出てくるハカセ(←こっちのハカセではないけれど)くらいの袖の長さである(ウソ)。

──そうやってできあがったのが、写真のシャツである。ケータイのカメラで撮影しているので、色もなんだか黄色っぽいのだが、身体にはフィットしていて、着心地はいいと思う。何よりカフが動かないのが良い。…と思っていたのだが、少し生地が薄いのかなあなんていう感想も抱いたのである。
それから、イタリアのシャツみたいに厚くて立派な貝ボタンを付けることや、裁断する前には湯通しを…など、いくつかの「お願いしたかったのだが忘れていたこと」を思い出した。コットンは洗うと数%縮むらしいので、あらかじめ緩めに作っているのだね。どおりで首周りが少し緩いのだね。
Angelo Fuscoとは、ネットを調べればすぐに出てくるのだろうが、イタリアはミラノの美容整形外科医であるAngelo Fuscoさんが趣味で始めたハンドメイド・ネクタイ・ブランドである(ミラノと言えば、昔、やたらとでっかいサッカー競技場の前を通ったっけ。ダフ屋みたいな人たちから「チケットを買わないか?」って声をかけられたりしたなあ)。
そんなミラノのAngelo Fuscoのネクタイは、すこぶるクオリティが高いらしいのだが、日本ではこれまで、元町バザーという神戸の店でしか扱っていなかったらしい。だから、関東において買わないまでもちょっと見てみようかなと思っても、なかなかそれが叶わずにいたのだが、そのチャンスが訪れたわけだ。
しかも、主催者の方のブログを見ると、訪れた人たちがネクタイを実際に手に取っているではないか! もしかしたら僕もそんなことができるのではないかしら…と期待を寄せて、足を運んだのである。
展示会とはいってもギャラリーのような類いのものではなく、ネクタイや作品がいくつかカフェの店内の壁にかかっているという、少しカジュアルな雰囲気である。セッテピエゲという七つに折られたネクタイの内側(=裏側)を開けるように、ピンで固定して額装したものや、ネクタイ・アートというネクタイを使った彫刻のような/絵画のようなものが展示されていて、コーヒーを飲みながらしばし眺める。布地自体がしっかりと織られたものであり、適度な厚みがあるのが分かる。
ネクタイ・アートというと、最初聞いたときは、いささかキッチュというかスノッブというか、ある種そぐわない感じがしたものだが、食事の食べこぼしでできたシミやほころびの所為で使われなくなるのを残念に思って、アートとして蘇らせることにした…という、その由来が書いてあるのを見て、思わず納得。そういう経験なら、僕にだってある(シャツの話になるけど、どうして白いシャツを着ているときに限って、スパゲティ・ミートソースやナポリンタンを食べたくなるのだろう? どんなに気をつけていても、ソースが跳ねることはわかりそうなものなのに…)。

作品やネクタイの中で僕が気に入ったのは、紺地に五線譜と音符が書かれて(織られて)いるものだ(こんなところでも紹介されていた)。ちょっと派手目なので、このネクタイを実際には自分が結ぶところを想像できない。でもしてみたら、意外と普通だったりしてね。…などと、いろいろ妄想が始まる。実際には、先のブログの様子とは違って、ネクタイを手に取ることはできなかったが、見るだけでもなんだか気分が良くなってくるのであった。
僕は10年ほど前に、
「略式の礼服」としてブラック・スーツを購入していたのだが、
慶弔両方の際にブラック・スーツを着るのは、
どうやら日本独特のものらしい。
なんでも、その昔、
百貨店かどこかが提案した企画で、
黒いスーツで白と黒のネクタイを使い分ければ、
慶弔両方の場を乗り切ることができる。
その手軽さが、
日本のサラリーマンに受け入れられていった…
ということらしいのである。
このあたり、
2月14日にはチョコレートを贈ろう!
…というのが、お菓子業界主導で、
世の中に定着していった経緯と似ているような気がする。
閑話休題。
そこで、改めてフォーマル・ウェアについて調べてみると、
いろんな場所で、
いろんな人たちが、
いろんなことを言っているのだが、
まとめてみると凡そ次のようになった。
【正礼装】
昼:モーニング・コート
夜:テイル・コート
(ホワイトタイ指定)
【準礼装】
昼:ディレクターズ・スーツ
夜:ディナー・ジャケット
(=タキシード:ブラックタイ指定)
【略礼装】
昼・夜:ダーク・スーツ
そして、場の格式にも依るのだが、
ホスト側の人たちはたいてい、
正礼装に近い装いが求められ、
ゲスト側はそれに準ずる、ということらしい。
今回、僕は、
朝から行なわれる結婚式&披露宴に呼ばれたわけだから、
ディレクターズ・スーツを着ていけばいい、
ということが分かったのである。
ディレクターズ・スーツとは、
すごく大まかに言うと、
グレーのウェスト・コート(=ヴェスト)に黒いジャケットを羽織り、
グレーのシマシマのコール・パンツを履き、
黒い内羽根式のストレート・チップで足元を固めるスタイルである。
ここで僕は考えた。
「上衣は今回リフォームしたブラック・スーツのものを流用できまいか?」と。
だが、いくつか見て回ったところ、
ジャケットはノーベントで
ピークド・ラペルのものが多い、ということが気になる。
#僕の上衣は以前のエントリで書いたように、
#センターベント、ノッチド・ラペル。
でも、ピークド・ラペルって、
ダブル・ブレステッドの場合ではないのか?
それに、ノッチド・ラペルのものを
積極的に展開している店もあるし。
…などと、頭がモヤモヤしてきたので、
直接、ショップの方々に訊いてみることにした。
「上衣は既にあるもので問題ないか」と。
結果。
1. 「全く問題ないですよ」
と答える人もいれば、
2. 「それはちょっと…」
と答える人もいた。
#もっとも、お店の人たちのことだから、
#1. 「全く問題ないですよ(コール・パンツさえ買っていただければ)」
#2. 「それはちょっと…(やはりジャケットも買ってください)」
#という、ビジネス上の含みを持たせた答えなのかもしれないけれど。
というわけで、
スケジュールと予算の面から、
暫定的に上衣は流用することに決めたのである。
一方、ウェスト・コートとコール・パンツ、
それに付随するアクセサリーの類は新たに購入した。
パンツの裾の仕上げはシングルでモーニング・カットに。
靴なら以前、撮影用に購入したものがあるから問題ない。
これでようやく準備が整ったのである。
当日着ていくものについて考えてみた。
実を言うと、僕は10年ほど前に「略式の礼服」として、
ポール・スチュアートでブラック・スーツを購入したことがあった。
生地はわりと手触りの良いもので、
シングル・ブレステッドの2釦、
ノッチド・ラペル、センター・ベントの上衣と、
ベルト・ループなしで股上が深めというトラウザーズである。
ベルト・ループなしということは、つまり、
ブレイシーズ(=サスペンダー)必須ということであり、
ここがイイのだ。
当時、180cmで60kgくらいしかない僕には、
サイズの豊富な今とは違って、ピタリと合う服があるわけなく、
「お客さまの場合ですと、このくらいです…」と、
店員に提示されたものを着るほかなかった。
ウエスト80cmのトラウザーズを詰めに詰めてみて、
裾はヒラリヒラリ。全体的にゆったりとした雰囲気である。
それも10年前なら許せたのかもしれないけれど、
今、着ようと思うと、
いささか気の引ける思いがしていたのも事実なのであった。
生地やラペルの幅とそのラインは気に入っているので、
リフォームかなあと思って調べていたら、
こんなのが見つかった。
『メンズクラブ』(2006年12月号)
5年前に買ったスーツ、どうしています?
「捨てる」はもったいない。「お直し」で復活・再生
そう、ちょうどこういう情報が欲しかったんです!
躯にフィットするように変えるとなると、
大分いじることになるなあ。
予算は2〜3万円でとりあえず考えておく。
ということで、家庭内も落ち着きを取り戻しつつある昨今(?)、
早速、この記事で紹介されていた原宿のS…という店へ赴く。
この店は洋服のリフォーム専門で、
近くのセレクトショップの店員と思われる人たちが、
入れ替わり立ち替わり出入りしている。
そこで、フィッターのKさんと相談する。
想像していたよりもご年配の方だったので恐縮してしまうが、
人当たりの良さに安心。
サービスってこうだよなあと心から思う。
あれやこれやと経緯を説明して、リフォームをお願いしますと伝える。
トラウザーズは、
大腿のあたりの渡幅、膝幅、裾幅を
詰めないといけませんね…ということで、
裾幅に至っては3〜4cmも詰める。
ちなみに、ウエストはちょうどなので、
あと3kgしか太れないね、とのこと。
購入してから10年経った今、体重は70kg近い。うーん。
上衣も胴回りを5cm詰め、肩も直す。
そして、足をもっと長く見せるために、
着丈を1.5cm詰めましょう、ということに。
「ここまでやると大分(お金が)がかかりますよ」
そう言われて、一瞬ヒヤッとしたのだが、
考えていた予算より低いので、
お願いしたのであった。
つづく

ロング・ホーズという、メンズ向けの長い靴下を最近購入しました。
ビジネス・ユーズに使うためのもので、よく電車やカフェ…喫茶店で、組んでいる脚のパンツの裾から脛が見えているオジサマたちがいますが、これを履いていれば、そんな心配もいりません。
いや、僕は普段から決して脛が見えないように気を配っているんだけど、そんな気を遣わずにすむスグレモノなのだ。
それ以外にも大変実用的な側面があって、なにしろふくらはぎをスッポリ覆って、膝下まで来るその長さのおかげで、非常にあたたかい。
ややジジムサイ話になったけれど、欧米でスーツ・スタイルの時には、このロング・ホーズを履くのがスタンダードなのだとか(このあたり間違いがあったら、靴下業界の方、修正願います)。
ともかく、最近のお気に入りデス。